この二人から禅は始まった
- 2014年01月31日 |
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【バックナンバー2013.03.06】
前号でお伝えした「花の教え」より
微妙香潔 (みみょうこうけつ)を生きるとは?
微・・かすかな違いに気づき
妙・・キメ細やかに接し
香・・近くには近くの、遠くには遠くの香りを味わい
潔・・いさぎよくさっぱりと佇まいを調えていく
花の教えの最初の実践者
マスターブッダがある日、
後継者を指名する場に足を運び、
いつものように弟子たちの前にすわります。
(※画像は一葉観音です)
弟子たちはソワソワしています。
「いったい誰になるんだろう?
もしかして、あの人かな? 自分かも?」
ブッダは黙ってすわったままです。
弟子たちはさらにザワザワザワザワ。。。
「いつもは、すぐに話を始めるのに、
今日の師はいったいどうしたんだろう」
その時、ブッダは黙って一輪の花を手に取り、
ひねってにっこり微笑みました。
多くの弟子は、師の行為の意味をうけとりきれません。
その中で、ブッダから離れた遠い席にいながら、ひとりだけ、
満面の微笑みでブッダに返した方がいました。
ことばなくして、
真が通じたことを認めたブッダは、
ただちに彼を後継者に指名し奥義を授けました。
「真理にことばがないことを理解していること。
目の前の現実に、己のこころの眼で摂理をみてとっていくもの。
このこころをおさめ、ただちに行為に表した迦葉(かしょう)に託す」
とだけ言い、ブッダはサラリとその場を去ります。
その言葉の余韻に、弟子たちはしばらく感化されるブッダの教育。
師のかすかな違いとキメ細やかさに気づき、
遠くであっても見極め、ただちにサッパリと微笑んで返す第2祖迦葉は、
やがて500人の大教団を率いて花の教えを整理しまとめ、
師のなきあと教えをきちんと調えることに尽くしました。
永平寺でも毎朝、このお二人に連なる57人のマスターの名を暗唱し、読みたたえています。
この二人から、禅が始まったのです。
花の教えが光の伝統として歩み始める歴史的瞬間
拈華微笑(ねんげみしょう) 華をひねってかすかにほほえむ。
以心伝心していくこころ美人道が、
茶華道にやがて大きく発展していきます。
今風に言うなら、
究極のコミュニケーションの姿
あなたにも、肝心な時に、言葉なくして
相通じ合えるかた、どなたでしょうね^^